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(一財)日本きのこ研究所が絶滅危惧種キリノミタケの人工栽培に成功しました

2024/01/18メディア

環境省のレッドリスト2020で絶滅危惧Ⅱ類に掲載されている希少きのこ「キリノミタケ」の人工栽培に一般財団法人日本きのこ研究所が世界で初めて成功し、その成果を公表いたしました。

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キリノミタケ(チャワンタケ目キリノミタケ科)は西南日本および米国テキサス州とオクラホマ州の一部にしか分布しない極めて珍しいきのこで、桐の実に似ていることが名前の由来です。きのこが裂けて煙のように胞子が飛散する様子から、米国では「悪魔の葉巻(Devil's Cigar)」と呼ばれています。きのこを含む菌類はキリノミタケを含めて61種が絶滅危惧種に指定されていますが、有効な保全策は講じられておらず、必要性を感じた同研究所はキリノミタケを対象に選び、2010年に人工栽培の研究に着手しました。

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研究所の敷地内2カ所に2011年、イチイガシなど5種類の樹種に種菌を接種した原木60本を伏せ込み、経過を観察。6年後の2017年10月、イチイガシの原木から初めてきのこが発生しました。以降も継続的な観察を行った結果、ほぼ毎年発生が確認され、原木栽培による安定発生を確認いたしました。きのこが発生するまでの期間を短縮するため、2018年からは菌床栽培にも取り組み、接種から4年後の2022年から2年連続できのこが発生したことから、有効な保全方法と栽培技術の確立に目処が立ったと判断。2023年11月発行の日本菌学会報に論文掲載し、成果を公表しました。

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同年12月22日には同研究所の牧野所長と研究を中心となって進めた中澤顧問が報道発表を行い、キリノミタケは菌糸の成長が早い半面、木材を分解(腐朽)する速度はゆっくりであること、これまで事例のなかったコナラからも人工栽培できのこが発生したことなど、研究成果を説明しました。全国紙や地元紙に加え、通信社の配信を通じて全国各地の地方紙に記事としてご紹介いただいております。

この取り組みがきっかけとなり、絶滅の恐れがあるきのこへの関心が呼び起され、種の保存や多様性の保全に向けた動きにつながることを願っています。

掲載記事の一例はこちら(2024年1月13日付静岡新聞)

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